「長いものに巻かれろ」は破綻する?

この数ヶ月間、大王製紙、オリンパスと、企業統治の根幹を揺るがす事件が相次ぎましたが、中でもオリンパスの事件は、千数百億円という損失の巨額さと、「飛ばし」という久しぶりに耳にした損失隠しの手法に、大きな衝撃を受けました。

 

なぜ買収の仲介手数料に690億円も払うのか? なぜ売上高数億円の会社を買収するのに730百億円もの対価を支払うのか・・・? 先週の会社発表により、こうしたモヤモヤとした謎が一挙に氷解したわけです。


しかし、誰の目から見てもオカシイと思えるこれらの事実について、イギリス人の元社長以外は、誰も指摘しなかったのでしょうか。

その後報道で、当時の監査法人が指摘していたことが明らかになりましたが、役員については、直接関与していた数名を除いて「知らなかった」、「昨夜初めて聞いた」ということになっています。

 

これはにわかに信じがたい。

ウラに潜むカラクリ(=飛ばし)に気が付かなかったのはさておき、少なくとも、巨額の資金が意味不明な用途に使われると聞いて、薄々オカシイと感じたのではないでしょうか。 オカシイと感じたところで、そのまま胸の内にしまっておいたのではないでしょうか(もしそういう疑問すら感じなかったというのであれば、これはもう論外です)。

 

「長いものに巻かれろ」と昔の日本人は言いました。同じ日本人として、私もそういう精神性は痛いほどわかります。しかしそれがいつか大きな破綻をもたらすのだということも、今年いやというほど思い知らされました。

私には、今回の事件が、?メーターを超える津波は来ないという、根拠のない説明を押し通すことで結果として大惨事を招いた原発とまったく同じ構図に見えてしまうのです。

 

伝統的な日本の精神性を打ち破るのは、まさに言うは易し行うに難し・・・です。しかし、自分が単に長いものに巻かれる存在ではなく、上場会社の取締役という極めて公的な存在であるという強い自覚が必要です。それがなければ、いくら会社法をいじって企業統治制度を整えたところで、また同じような悲劇が繰り返されることでしょう。