お蕎麦屋さん

先日のお昼すぎ、事務所近くのそば屋に向かいました。

それは一見して普通のおそば屋さん、

そばだけではなく、丼ものや定食も出すようなお店です。

値段の割に味は確かで、その証拠に

お昼どきになるとサラリーマンや、

渋谷に買い物に来たお年寄り夫婦なんかでいつも賑わっていました。

 

店が入っている小さなビルの地下1階に向かう

階段を降りようとしたとき、

突然見知らぬオジサンが「やってねえんだよ・・」と

私につぶやいてきました。

えっ・・・? 状況がのみ込めない私は、

扉に貼ってある張り紙に気付きました。

そこでようやく、そのお店が閉店したことを知ったのです。

10日ほど前に行ったときはそんな雰囲気が

微塵もなかったので、キツネにつままれたような気分です。

私の後から来たサラリーマンの3人組も、

貼り紙を読んで驚いた顔をして引き返して行きます。

 

貼り紙には「61年間お世話になりました」と書いてあるので、

相当の老舗だったことをその時はじめて知りました。

気になって食べログで検索してみたら、

案の定、いろいろと歴史があるお店のようです。

 

貼り紙には「法人を解散するに伴い・・・」と閉店理由が書いてありましたが、

これだけではよく事情がわかりません。

いずれにせよ、あれだけのお客さんが

ついているのに閉店するのは、何とも惜しいことです。

事業再生の現場では、

この会社は再生に値するかなんてことが

よく議論されたりしますが、

そういう意味では、このお店は残ってほしいお店でした。

 

のれんをだれかに譲るとか、

何かやりようはあったはずですが、

それをやり遂げる気力がオーナーには

残っていなかったのでしょうか。

いろんな考えが頭をよぎりますが、

しかし店が閉まった後では後の祭り。

 

そういえば、1年ほど前にも事務所近くの

別のおそば屋さんが突然閉店しましたが、

こういうお店が消えて、

そばを食えるのがチェーン店だけに

なっていくのはなんとも寂しい限りです。